モテるための散歩

散歩ってしたことありますか?俺は15年くらい前から、ようやく始めました。 散歩といっても、幼稚園や保育園の「おさんぽの時間」とか遠足とかで無理矢理連れ出されたり、旅行に行って名所を廻ったりすることじゃなくて、ただその辺を歩くだけのために歩くこ…

別れた女の子みたいな本の話

俺はどうも惚れっぽいらしい。作家に。惚れっぽかったというべきか。 中学生のときはとにかく筒井康隆ばかりを読んでいた。それ以外にも何か読んでたような気もするが、今では全く記憶にない。手に入る全ての筒井康隆の著作をひたすら読む。小説・エッセイ問…

鑑賞の呪縛

俺の妻は、すぐに俺を軽く「超えて」いく アメリカンフットボールは面白いよ、と教えるとたちまちのめり込み、好きなチームを3つも作って選手の名前も覚えまくって、戦術の論評まで始める。俺は未だに「ショットガン」と「ピストル」のフォーメーションの違…

人のことを恥ずかしがるな

「で、結局どこの中学校に行くって?」と俺が尋ねると、妻は「それが教えてくれないんだ。こっちから訊くわけにもいかないし。」 それで合点が行った。そりゃ家出もするさ。 妻とは職場結婚なので、共通の知人が多い。知人といっても俺はまず職場で人と話し…

奇を衒え

俺は「奇を衒って」生きている。 髭を生やしハンチングを被り、お堅い職場にジーンズとパーカーで出勤し、目上の人間にも敬語は使わず、おかしな写真を撮り歩き、SNSでは穿った偉そうな意見を述べ、ほとんど人とは付き合わず、孤高を気取っている。 だって、…

式嫌い

俺は凡そ「式」と名の付くものが嫌いである。結婚式、入学式、卒業式、成人式、葬式…。「チャート式」や「オギノ式」なんてのにさえ、響きに嫌悪感がある。 特に、結婚式って奴が苦手だ。結婚なんてものはそこから先が大事なわけであって、「結婚式」に憧れ…

2001年インドの旅

俺は、強い嫉妬の感情を抱くと、両こめかみから頭頂部にかけてぞわっ、と痺れが這い上がり、それが食道を通って胃にぐっ、と下りてきて、ゲロが出そうになる。つい最近も誰かさんにそんな経験をさせてもらった。まあ、生きてりゃ色々ある。 また、大好きな音…

恥ずかしの「町中華」

俺はハンチング帽を被り、髭を生やしている。髭の方はまあ、床屋以外では一切手入れしないので、「不精だから」という言い訳も立つ。しかし、ハンチング帽の方に関しては、「ハンチング帽が好き」というよりやはり「ハンチング帽を被った自分が好き」という…

「天才マンガ」の嚆矢 - マラマッド『レンブラントの帽子』を読む

レンブラントの帽子 作者:バーナード・マラマッド 出版社/メーカー: 夏葉社 発売日: 2010/05 メディア: 単行本 「天才マンガ」というジャンルがある。といっても俺が今名付けたんだが、ググってみると「天才が出てくるマンガ」という意味でいくつか用例があ…

ホラゲさんのこと③

その日は珍しく「ビータ」(旅)と言われる遠征で、三重の松阪市にオープンするビジネスホテルの宣伝の仕事だった。もちろん交通費をケチって、ワゴン車で行くことになっていた。 ホラゲさんが来るものだと思っていたら、別の三十絡みの男が運転して来た。 …

ホラゲさんのこと②

相模原辺りのショッピングモールのオープンセレモニーの仕事があったときも、ホラゲさんは値切って、交通費を惜しんで、自分の車で機材を運ぶと言い張った。俺と、当時付き合っていたクラリネットの彼女の2人は俺の(親のだが)車で行き、現地で合流するとい…

ホラゲさんのこと①

大学時代にジャズのサークルでラッパを吹いていた。 そのサークルというのがやたらと伝統的な奴で、「ゴトシ」と称する演奏の営業をして年に数百万稼ぎ、そのお金で毎年銀座の「ヤマハホール」で国内外からゲストを招いて「リサイタル」を行う、という仰々し…